たきさわたいへいオンラインサロン「MAYIM(マイム)」

浦河町の”べてるの家”へ訪問

浦河町の”べてるの家”へ訪問。

「精神障害者だけのコミュニティが北海道にある」

という話を聞き、とても興味を持っていたのが、べてるの家であり、ようやく現地を訪れることが出来た。

日高山脈の南、沿岸部の人口11,500人ほどの小さな港町である浦河町。

ここで

精神障害者=約120名
スタッフ=約90名

200名を超えるメンバーが”べてる”という1つの共同体として生きている。

その歴史は45年にも及ぶと言うから驚き。

45年前、浦河町には格子付きの精神病棟があり、そこは130床もの精神病患者を”収容”できる環境があった。

文字通り”収容”は、彼らは世間から”危険な存在”として扱われ、まるで犯罪を犯した囚人のように自由もなく隔離されていた。

でも、本当に危険なのが理由なのか、実は病院経営にとって”治らない”精神病患者は最大の優良顧客であり、ひたすら依存性の高い薬漬けにして一定数を入院させておけば、それだけで経営が安定する。

退院しても、どうせまたトラブルを起こしたり、辛くなって帰ってくる。

そう見込んでいた浦河町の精神病棟に異変が起こったのが45年前であり、一部の退院した患者と病院のソーシャルワーカーであった向谷地生良さんが、教会で共同生活をしながら

「自分たちでお金を稼いで生きて行こう」

と、起業したことが”べてるの家”の始まり。

こうして1人、2人と病院を退院しては”ベテルで家”に入り、共に地域産業である日高昆布の加工や販売をはじめ、気付けば精神病棟の病床は減少していき、ついにはゼロとなって、潰れてしまった。

同時に病院に隔離されていた精神障害者達が、地域へとすべて溶け込んでいき、それを”べてるの家”が受け皿となり支え続け、そしてメンバー同士もお互い助け合って生きて来た。

様々な理由で、心・精神が壊れてしまった老若男女が集う”べてるの家”では、問題が起こらないわけがない。

1人ひとりも問題があって当たり前。

しかも無理に解決しようともしない。

病気も治そうともしない。

そのままで良い。

世間一般では”当たり前”と思われる常識が、べてるではすべて”非常識”であり、まるで違う惑星の社会に紛れ込んでしまったかのように衝撃を受ける。

統合失調症。昔は精神分裂病と呼ばれたもの。

幻覚・幻聴とも呼ばれる症状が起こり、精神がおかしくなった狂人として扱われる。

そんな人たちばかりの”べてるの家”では、それは特別なことではない。

むしろ

「幻覚&妄想大会」

とネタにして、それぞれの症状をPRするほど。

「UFOに乗って一緒に宇宙に行こう」

と、女性の声に誘われて宇宙基地のある”えりも岬”に向かう。

世間一般からすれば、それは狂人の戯言?かもしれないけど、本当にそうかな?

僕には

「そうなんだぁ」

と、むしろ納得してしまうし、もっと深く話を聞きたくなる。

だって日高山脈の方は、そんな話は本当に山ほどあって、実際に基地はあるのだから。

壊れたのは精神ではなく、偽っていた仮面であり、より本質の自分の蓋が開いた人もいると思う。

定例となる朝のメンバーミーティングにも参加させてもらった。

司会進行をしていた男性は、昔テレパシー能力が突然芽生えたことで精神病患者の仲間入りとなった。

人の心の声が聞こえ、動植物も話しかけてくる。

亡くなった親族もしゃべりかけてくる。

僕の周りもそんな人ばかりであり、病名をつけたら僕も含めて精神病患者。

そこに境目はないと思う。

キブツ八ヶ岳も、より多様性を持つ人々が当たり前に違和感なく過ごせる社会を目指していく。

“存在”が大切に扱われる雛型社会を目指して。

僕からすれば、退屈な一般社会に身を置くよりも、遥かに個性的で突き抜けた能力を持つ”べてるの人々”といる方が刺激的であり、1人ひとりが本当に興味深く、もっとみんなを知りたいと思ったほど。

生きづらさを感じている方は是非とも訪れてみるべし。

最後に”べてるの家”の理念を共有。

・三度の飯よりミーティング

・安心してサボれる職場づくり

・自分でつけよう自分の病気

・手を動かすより口を動かせ

・偏見差別大歓迎

・幻聴から幻聴さんへ

・場の力を信じる

・弱さを絆に

・べてるに染まれば商売繁盛

・弱さの情報公開

・べてるに来れば病気が出る

・利益のないところを大切に

・勝手に治すな自分の病気

・そのまんまがいいみたい

・降りてゆく生き方

・苦労を取り戻す

・それで順調

などなど

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