サイレン鳴り響く6月22日朝のヨルダンは”アカバ”の紅海都市。
さて、僕らの旅は何の因縁か
「令和の出エジプト記」
となっており、カイロやとギザから始まって夏至シナイ山にてご来光を受けて前半が終わり、いよいよエジプトを抜けてヨルダンを目指す。
エジプトのシナイ半島を陸路縦断して到達するのは、紅海のアカバ湾。
エジプト・イスラエル・ヨルダン・サウジアラビアが、このアカバ湾を取り囲んで一望できる4つの国の国境が密着している世界でも稀有な地。
エジプトから陸路ヨルダンに到達するには、アカバ湾の海を割らない限りは、イスラエル(エイラット)を一時的に通過しなければならない。
シナイ山を午後に出て夏至21日の夕方に無事にイスラエルとの国境であるエジプトのタバの町へ到着。
タバ国境検問所を覗くと、イスラエルからエジプトに出ようとしている人々は大行列で混雑している。
反対にエジプトからイスラエルに入国しようとしている人々の姿はほとんど見当たらない。
当たり前と言えば当たり前、このイスラエルvsイランの交戦中にイスラエル入国するのは、国外に出ていたイスラエル予備兵達くらいで、わざわざ今のタイミングにイスラエルに誰も入りたくはない。
とはいえ、我々はイスラエルが目的ではなく、その先にあるヨルダンへ行かないと飛行機がないので帰れなくなってしまうため、とにかくイスラエルを無事に通過することを祈るのみ。
とりあえず国境は封鎖されておらず、無事に手続きが出来そうであり、何よりもまた空いているから想定よりも早く通過できそう。
エジプトからの出国は、当然ながら”袖の下”文化であり、我々も特別な計らいにてスムーズに出国。
そして、続くイスラエル入国であるけど、当初の予想では2時間から3時間は覚悟していたものの、思ったよりもスムーズに手続きは進みそう。
だが、最後の手荷物検査前に入国審査官の1人が先頭の僕と面談。
「どこまで行くのか?」
“ヨルダン”
「ホテルの宿泊予約の控えなど見せろ」
“いや、ツアーだから自分で手配してないのでない”
「はぁ?お前はリーダーだろ?ないはずはない」
“いやいや、リーダーだけどツアー会社じゃないし…”
なかなか団体ツアーを理解しない若い女の子の担当官で全力で僕を疑う。
「行程表を見せろ」
“それはあるから、はいどうぞ”
「なぜ、最後に死海(dead sea)のホテルに行く?」
“はっ?”
「死海はイスラエルの地だ!なぜだ?」
“いやいや、死海はヨルダンもあるでしょ!?これはヨルダン側の死海のホテル!”
この女の子は、イスラエルとヨルダンが死海を国境に分かれていることを知らず、死海=イスラエルだと完全に思い込んでいる。なんとも、ややこしい…。
“とにかくホテルの名前と住所調べてくださいよ”
「いや、お前が自分で調べろ」
“いや、ここはイスラエルで電波がいまないから無理だからあなたが調べなさい”
有名だけど、ユダヤ人は男の人でも女の人でもめちゃくちゃ強気で言いたいことガンガン言ってくる。
それはよく理解しているので、こっちも主張はとことん突き通す。
そして、一緒に彼女のスマホで死海のホテルを入力して住所を調べて、Googleマップでも表示してもらい
”ほら、ここが国境のラインでしょ?ヨルダン側の位置でしょ?ここのホテルはヨルダン!”
と伝えたら
「…うん、ヨルダンね」
だけで終わり(笑)
何一つ悪びれる様子もなく、もちろん謝りもしないのがユダヤ人。
でも、それがそれで何でも謝ってしまう日本人とは真逆で良いところでもある。
とはいえ、お前は怪しいというのとで僕だけパスポートを没収されてあらゆる調査が終わるまで返さないとなったものの、一応はすべてパスしてパスポートも返却。
こうして全員無事にイスラエル入国。
そこから次のヨルダンとの国境までは30分ほどの距離であり、シャバット(安息日)で家族連れで休暇中のエイラットの都市をバスで抜けていく。
エイラットは安全な都市なので誰も危機感を持っておらず、紅海の海辺でのんびり休暇を満喫している。
あれよあれよと、イスラエルは通り抜けて無事にヨルダン国境に到着して、ここはまたスムーズに抜ける。
ということで、旅の後半となるヨルダンに夏至の夜には無事に到着。
「全然この辺りは平和だなぁ」
と思っていたけど、この夏至の日によりによってアメリカがイランを空爆して参戦。
「おい、こら!トランプ!」
イスラエル国内は平穏だったけど、イランを中心に世界は更なる緊迫したムードに突入していた。
ヨルダンで迎えた最初の翌朝。
「ウーーーーー」
この旅に来て初めてサイレンが街中に鳴り響く。
朝からイランが報復でイスラエルに向かって大規模なミサイル攻撃を仕掛けたらしい。
ヨルダンにミサイルが直接落ちることはほぼないけど、イスラエルとイランの間に位置するヨルダンは、上空がミサイル合戦となり、迎撃されたミサイルの破片が空から降って来るケースがある。
もちろん、ここアカバでは基本大丈夫だけど、ヨルダンを旅する中ではエリアによって注意が必要。
とにかく残り4日ほど、ヨルダンのアンマン空港などが封鎖されないように、これ以上に戦乱が拡大しないことを願うのみ。
ちなみに基本的にアカバは全然平和そのもので、ヨルダン人もサイレンなんか誰一人気にしていない様子…。













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